ランタン谷とゾモのお話

ストーリー

 ヒマラヤの国、ネパールの首都カトマンズの北、屏風のように高い山々に刻まれた深い谷のひとつにランタン谷があります。谷を流れる川はネパールとインドの広大な平原を縦断してベンガル湾へ注ぎ、谷の奥へ続く道をたどればチベット高原に通じます。

 40年前、私たちの友人、デチェン・ドルカーは1週間山道を歩いて、谷の中心地、ランタン村を訪ねました。出迎えてくれたのは、会った瞬間に家族としか思えなくなるほどフレンドリーな村人たち。彼女はその後、何度も何度もランタン村に通いました。谷のわずかな平地に拓かれた畑、そしてヤクと牛の混交種の雌「ゾモ」を中心とした牧畜……。特にゾモは雌ヤクの3〜5倍の乳を出すことから、「英雄が2人で行けば敵をたたくハンマーになり、ゾモが2頭もいたら富のもとになる」ということわざがあるほどです。

 やがてこの谷は「世界で最も美しい谷」として知られることになり、多くの観光客が訪れるようになりました。デチェン・ドルカーはこの美しい自然を守るため、薪の代わりに氷河や湧き水を利用して発電することを提案。「ランタン・プラン」の仲間たちが協力して夢は実現しました。電力を利用しておいしいチーズやパンを作り、世界中からの旅行者に提供し、村人たちは電灯のある暮らしのなかで、伝統を守りながら暮らしていました。

村から見上げたランタンリルン峰

 しかし、2015年4月25日、M7.9のあの大地震が起きたのです。ランタン谷は氷河の大崩壊で多くの村人が亡くなり、家畜や畑、観光客のためのロッジや発電設備などは、一瞬にして消えてしまいました。
 谷から町へ避難した村人たちは考えました。あの美しい谷を取り戻したい。そして、谷に残してきたたくさんのゾモたちのことを思い出しました。

 これからの復興を目指す村人のためにまずは牧畜の再開を支援したい。「ゾモファンド」はそのためにデチェン・ドルカーが始めた基金です。牧畜が軌道に乗れば、次は農業、そして発電設備と「世界で最も美しい村」の再生を目指し、その復興に向けて活用される予定です。

 私たちは、デチェン・ドルカー(チベット学者、貞兼綾子さんのチベット名です)の思いに深く共鳴し、ゾモTシャツを作って、ランタン谷の人々を支援したい、と考えました。何よりも「着てみたくなるTシャツ」を、と。
 どうか、ゾモTシャツを着てランタン谷の人々にゾモを贈る企みに協力ください。

2015年8月   ゾモ普及協会

© 2015 Japan Association for Langtang Dzomo Support